植草信和(元「キネマ旬報」編集長)
老兄弟の過去に何があったのか。ふたりの愛憎劇がそこから始まるのだが、まず驚かされるのは柳澤愼一と高橋長英の存在感に満ちた演技だ。 ふたりの名演によって、観る者は40年間会っていない老兄弟の再会の場に、立ち合わされているかのような錯覚に陥る。
これがベテラン俳優による“虚実皮膜”の妙というものだろう。
石川雅之(評論家・鎌倉市文化人権課担当)
一瞬の風のように通り過ぎる自由奔放な兄と刺激臭に満ちた若い女。二人に背中を押されて、それまでただ実直に積みあげるばかりだった日常から新たな一歩を弟が踏み出そうとする終幕が確かな希望と温かな余情とを生み出した。エンドロールに流れる伝説のシャンソン歌手、永登元次郎の歌う「私の孤独」が深く胸に沁み入り、映画の印象とともにいつまでも耳に残る。往年の名作「八月の鯨」(リンゼイ・アンダーソン監督、リリアン・ギッシュ、ベティ・デイヴィス主演、88年日本ヘラルド配給)を思わせる。
矢田部吉彦(東京国際映画祭 プログラミング・ディレクター)
時代が変わってしまう悲しみや辛さをコメディの形で伝えることはとても有効であり、それだけに難しいと思うが、「兄消える」はその難易度の高い社会コメディーの達成に成功している。
左田野渉(編集者)
物語の最後に明かされる消えた兄の40年。上田の街から再び消えた兄が起こした最後の奇跡が、街に人に老いたなりの活力を与える。観客は苦笑と共に、見えない涙を心で流すだろう。成功しようが失敗しようが、人生はこう生きればいい。
柴田あずさ(シネマ コンシェルジュ)
コメディタッチの中に見え隠れする孤独、老い、寂しさ心に残るセリフもとても印象的でした。やはり エンディングの持って行きかたが素晴らしかった・・・見終わってからじんわり涙が出てきました。人生にとって何が一番プレシャスなものか?をこの映画ならではのアングルから教えてくれる貴重な一本でした。
下條アトム(俳優)
先輩方の役者魂に圧倒されました!
老兄弟の両極のどうにもならない孤独感が優しく、ざわりと素敵なんです。
老いるとは、どうやら辛い事だけではない様です!…。
ニュース
第6回JFCアウォードで 優秀賞受賞!
ジャパンフィルムコミッション主催の第6回JFCアウォードで信州上田フィルムコミッション支援作品映画『兄消える』が優秀賞に選ばれました。
信州上田FCの皆様、上田市の皆様、本当にありがとうございました。
http://uedafc.blog69.fc2.com/blog-entry-528.html?fbclid=IwAR0a_GbWr0t34jjjuvHJfkDSicKATKvNV3xAxo-KWIxAjziJ-gJcpG3HWJw
23回うえだ城下町映画祭 11月15日~17日
11月17日
9:30~「兄消える」上映 (上田文化会館)
上映後ゲストトーク
柳澤愼一、土屋貴子、新田博邦(プロデューサー)
12:00~ 土屋貴子と行く「兄消える」ロケ地ツアー
https://www.umic.jp/eigasai/index.html
鎌倉市川喜多映画記念館
鎌倉市制80周年 姉妹都市提携40周年記念事業
鎌倉・萩・上田・足利
~映画がつなぐ姉妹都市~
【シネマセレクション】
「兄消える」(104分/2019年/「兄消える」製作委員会)
上映開始:
11月4日(月・振休)13:30★、7日(木)10:30、8日(金)14:00、10日(日)13:30★
★4日13:30の回アフタートーク 柳澤愼一、土屋貴子
★10日13:30の回アフタートーク 新田博邦、石川雅之
http://www.kamakura-kawakita.org/
10月26日(土)長野相生座・ロキシー
初日舞台挨拶 10:30からの回上映後
登壇者:柳澤愼一、土屋貴子、川村龍洲(書家)
司会 新田博邦(プロデューサー)
http://www.naganoaioiza.com/article/16164001.html
9月29日 あつぎのえいがかんkiki
13:00~14:50(本編上映)
14:50~15:20(トークイベント)
登壇者:柳澤愼一、新田博邦
http://atsuginoeigakan-kiki.com/ani-kieru-talk/
8月31日(土) 横浜ジャック&ベティ
初日舞台挨拶 12:35~回上映後
登壇者:柳澤愼一氏、高橋長英氏
8月24日(土) 岐阜CINEX 上映&トークショー
TOHOシネマズ上田 観客動員5000人を突破!
物語の舞台となった上田市のTOHOシネマズ上田では、公開2ヵ月を待たずして観客動員5000人を超えました。
この映像は、観客動員3000人を超えた時に地元の人達が作ってくれたものです。
撮影に入る前から描かれていて、監督以下関係者にとって涙ものの労作です。
VIDEO
映画『兄消える』 初日舞台挨拶のご報告
舞台挨拶で、柳澤愼一、土屋貴子、西川信廣監督が撮影時を振り返る
サプライズゲストの真由子、両親の津川雅彦、朝丘雪路に思いを馳せ涙
左から土屋貴子さん、西川信廣監督、柳澤愼一さん、坂口芳貞さん、真由子さん
信州上田を舞台に、40年ぶりに再会した対照的な老兄弟の絆を、ほろ苦い笑いと共に瑞々しく描きほろ苦い笑いと共に瑞々しく描き、往年の名作『八月の鯨』を彷彿させる“青春寓話” 『兄消える』。
5月25日(土)、同作の初日舞台挨拶がユーロスペースにて開催され、上映後の舞台挨拶に、柳澤愼一さん、共演の土屋貴子さん、西川信廣監督、新田博邦プロデューサー、そしてサプライズゲストに女優・シンガーの真由子さんが登壇いたしました。
放蕩無頼の兄、金之助を演じた柳澤は、事前の取材などで「この映画を遺作にする」と話していたといいます。「素晴らしい遺作ができたと思う」と話すと、会場からは「早い!」という声もあがりましたが、
「人生の最後、せめて亡くなるときぐらい、自分で素晴らしい思い出を残していきたいと思っていた。まさにそういう作品に巡り会えた」と万感の表情。
柳澤を主演に迎えるにあたって、新田プロデューサーは柳澤の連絡先をひたすら調べ、本人に行き着くまで2ヶ月かかったのだとか。柳澤は「探し当ててくれてありがとうございました。『60年ぶりの主演? えっ、柳澤愼一って生きていたの?』と言われるぐらいだから、大丈夫ですよ」と余裕の表情を見せました。
一方、金之助が連れて帰ってくる謎の女、樹里を演じた土屋は、上田市の出身で、観光大使でもあります。上田では5月17日から先行上映が始まっており、映画館では連日満席が続いているのだそう。
土屋は「台本を読んだ時から、素敵な映画だなと思っていましたが、私の故郷で撮影が決まって嬉しかったです。映画の中の時間の流れと、千曲川、浅間山の風景がぴったり合って、とても素晴らしい作品になりました」と笑顔。
今回、映画監督デビューとなった西川監督は、「柳澤さんや長英さん、土屋さん、文学座の先輩や後輩に出てもらって、素敵な映画ができた。本公演でもこのメンバーは集まらない。それに、まさか江守徹さんが出てくださるとは思わなかった。お願いしたとき、内容を言う前にひと言『風呂には長く入るのか?』と聞いただけで、出演を決めてくださった」と感謝のコメント。
ここでサプライズゲストの真由子さんが登場。ご両親の津川雅彦さんと朝丘雪路さんが、それぞれ柳澤さんや高橋さん、土屋さん、監督と縁が深いことから、花束を持って駆けつけてくださいました。
昨年、お父様とお母様を相次いで亡くされた真由子さんは、「劇中の兄と弟は、ちょうど父と母と同じ年代。両親にはもう少し長く生きて欲しかったという叶わぬ思いを、映画に映しながら観ていました」と言葉を詰まらせながら感想を吐露。続けて「年代関係なく、みんなの心の奥底にある“パワーボタン”を押してもらえるような作品。年齢なんて関係ない。これから人生楽しまなきゃ!と思えるような映画です」と太鼓判を押しました。
そして客席で観ていた出演者の坂口芳貞さんも登壇。「久しぶりに上田でロケをやって、やっぱりいい街だなぁ!と思いました。気心の知れた人ばかりで楽しい現場でした」と撮影時を述懐。
最後、柳澤が「ありきたりな表現ですが、これぞ“人間ドラマ”。日本ではこういった作品が少なくなりました。どうぞ宣伝なさっていただきたいと思います」と締めくくり、会場からは大きな拍手が送られていました。
<ストーリー>
町工場を細々と続け、100歳で亡くなった父親の葬式を終えたばかりの76歳の真面目な独身、鉄男のもとに、40年前に家を飛び出した80歳の兄・金之助がワケあり風の若い女、樹里を連れて突然舞い戻ってきた。その日以来、奇妙な共同生活を始める3人。やがて金之助の過去や樹里の素性が明らかとなる中、兄と弟それぞれの胸中に静かな確執とともに「故郷」や「家族」への思いが蘇っていく——。
舞台挨拶決定
5月18日 TOHOシネマズ上田 登壇者:柳澤愼一、高橋長英、土屋貴子
13:00の回、上映後15:00~舞台挨拶
16:00の回、上映前15:30~舞台挨拶
特別鑑賞券(前売り券) をお持ちの方は、劇場にて座席指定券とお取替えしています。
5月25日 ユーロスペース
10:00の回、上映後舞台挨拶
登壇者:柳澤愼一、土屋貴子、西川信廣監督、新田博邦(プロデューサー)
サプライズゲスト有り
町興しで始めた作品ではありませんが、今や市長を始め、多くの市民の皆さまがが応援してくれています。駅前にこんな立派なタペストリーが!「兄消える」(監督:西川信廣)5月17日より全国に先駆けて、TOHOシネマズ上田にて先行上映!